七草インコ繁殖
大型インコ類やオウム類の繁殖は難しいと思うかも知れないが、セキセイインコなど小型インコの繁殖の延長線上にあると考えれば良い。
つまり、大型インコ・オウム類は小型インコ類よりサイズが大きく、噛む力が強いだけだと、軽く考えてスタートすればいいと思う。
もちろん、小型種に比べ、繁殖可能な親になるための時間がかかり、抱卵・育雛期間もはるかに永いことを理解しておく必要があるし、小型種ほど市場に出回っていないため、繁殖に向く個体を見つけるのが難しいこともネックとなる。
それでも、それらの問題点を解決できれれば、小型インコ類と同じく人や環境に慣れやすい性質など決して繁殖させられないものではない。繁殖設備(環境と呼んでもいい)と優秀な種親をゲットするという意味では、小型種のそれとなんら変わりないのである。
尚、より理解し易いようにするため、他のページに写真を公開してるので、参照してもらいたい。
(修正)種親の選択
種親は雌雄とも飼育下で、実親に育てられた別血統の人馴れした個体か、若鳥の時に捕獲されてた人馴れした個体が理想。次いで、実親を知っている”手乗り”個体。その次が親を知らない完全人口保育個体となろう。
また、近親交配の弊害を避けるために雌雄別血の個体を交配したほうが無難でことも常識である。
加えて、日本の四季に順応した個体を入手した方がそうでないものよりコスト面を含めた全ての面でラクであることは云うまでもないだろう。その上で、体格が良い5〜10歳くらいの成熟した個体を入手し、できれば♂が♀より少し年上ならば、なお良いかもしれない。
あらゆる面で、理想こそ重要な指針であることを理解して、種親を確保することからスタートする。何でもそうだが、妥協が多くなればなるほど目的が遠退くことになる。
種の選択指針
国内で最も繁殖実績の多い大型種は、なんといってもオオハナインコであろう。♂♀が簡単に判別できることがその要因の一つだと思うが、しかし、この種は寒さに弱い欠点もあるらしい。日本の寒さに慣れていない鳥は冬期に戸外で飼育することか難しいので、それなりの設備コストが必要になる。
ボウシインコ類は雌雄の判断が難しいだけではなく、日本の四季に慣れるまでは、前種同様、冬期の保温対策が必要になる。
コンゴーインコ類も魅力的な種だが、90cmにも及ぶ巨大なサイズであること、強力な噛む力に加え、通常飼育できるペットとしては最も大きな鳴き声を考えるとチョット気が引けてしまう。
そういった意味ではどの種も通常の住宅地では繁殖どころか飼育することさえ難しくなるが、それにしてもコンゴーインコ類は別格、ケージ・巣箱などあらゆるもので、尋常ではない設備を要する。
白色系のオウム類は一部の種を除いては、成長した個体の場合は目の色で雌雄判定でき、日本の四季にも順応しやすい種が多いメリットもあるが、鳴き声については前属の次に厳しい。
繁殖ケージ
オウム科の鳥は雌雄1羽の夫婦が繁殖単位であり、ケージもその単位を基本にして作成すれば良い。サイズは”繁殖概論ページ”に記載したとおり、親個体の全長で決定する。もちろん、大きければ大きいほど良いという考え方もあるし、それを間違いだとは云わないが、もし、そのスペースがあるならば、むしろ、安全な環境作りを優先すべきだと思う。
例えば、繁殖ケージの廻りを高いフェンス等で囲み、それをよしずなどで目隠して、人や犬猫などの外敵の進入を防ぐばかりではなく、その姿も見えないようにするのである。
最も重要なことは安心して繁殖できる環境を保障することであり、それがなくでは先に進まない。
その上で、親個体の全長の4倍を基本にケージの最低サイズを決定する。例えば、全長40cmの種ならば、翼長は80センチとなり、その2倍=160cmが一辺の基準となる。この基準を巣箱の設置などで削られるスペースを考慮して変化させれば良いと思うが、最低でも一辺の長さが翼長の1.5倍ないと飛べなくなってしまうので、その点に注意する。
具体的には、(間口)180×(奥行)120×(高さ)160cmが最低のスペースとなるだろう。
以下、各スペックの詳細を記述する。
@繁殖ケージのサイズが決まったらスチールアングルで枠組する。木材ではアッという間に壊されてしまうので、鉄製にするしかない。
A金属ネットは床を除く全ての面に貼り付けることになるが、嘴の強さを考慮して丈夫なものを選ぶ必要がある。種にもよるが針金の太さは2ミリ以上のものにしよう。
この際、編んだものを使用すると端末処理の問題や爪が挟まったりする事故に繋がるので、必ず縦横の網目が溶接されているものを使用する。
また、サビ(腐食)を考慮すると材質はステンレスが理想だが、コスト面で厳しくなるので、”亜鉛どぶづけ”製品を勧めたい。
尚、桝目については逃げられなければ良いという考え方もあるが、ネズミやスズメなどの進入を防ぐためにも20ミリ以内にした方が無難である。
B床面については地面に設置する場合と私のように屋上に設置する場合で変わるが、前者の場合は、ネズミなどの侵入を防ぐための処理を含めてコンクリート敷きが良いだろう。また、水はけも考慮して地上より高い位置が床になるようにする必要もある。
後者の場合は、木製でも良いが、厚さ20ミリ程度のしっかりしたものに防水ペンキ処理や樹脂コーティングされたもを使用し、角面にはアルミなど金属を貼り付け齧り防止処理を施す必要がある。
C屋根の処理については、熱帯雨林に棲むオウム類はスコールが体を洗い流すので、自ら進んで水に入って水浴びをする種は少ない。よって、半露天式が理想であるが、私自身は全面を屋根で覆うことに問題はないと思っている。むしろ、梅雨時など床が濡れて不潔になることの方が問題だと考える。
繁殖ケージの設置場所
ケージの設置場所は南または東向きが良く、西日や北風の進入を防止できる場所が良い。そのために、ケージ本体に板張りしても良いだろうが、間口となる金網面は南または東向きが良い。
また、飼育者以外の人はもちろん犬や猫などの外敵がウロウロするするような場所では繁殖しないと思っていいので、その対策は最も重要である。
(追加)巣箱の選択と設置
種によっては地上に巣を作るものもあるが、多くの種は巨木の洞を巣にして繁殖するので、その代用となる巣箱が必要になる。現在ではアメリカ製のスチール巣箱が市販されているようだが、その巣箱では産卵しても孵化しないという意見が多い。その原因は日本の冬の寒さや鉄が材質として適さない特性をもっているからだと思う。
それでも、アメリカでその製品が普及しているのは、アメリカの気候に加え、ハンドフェードとかいう巣箱は産卵させるだけでよく、後は孵卵機で孵化させるいう考え方があるからだろう。
確かに、スチール製の巣箱は彼らの強い嘴でも壊されることはないが、保温性や湿度調整能力に欠ける。それらの欠点を解決するのは、やはり、木材しかない。
保温性や湿度調整のの高い木製の巣箱は自作する必要がある。
しかし、木材だけでは簡単に壊されてしまうので、齧られないように”角になる部分”を金属で補強する必要がある。
巣箱のサイズについては大型種は2羽の雛を育てると聞くので、親個体の全長と同じか少し大きめがいいだろう。また、形式は横置式と縦置式があり、私は後者を使用している。
ちなみに、我が師匠の話しでは、巣箱が小さすぎると2羽の雛を育てられないと親が判断して、ひとつしか卵を産まないことがあるという。しかし、大きすぎると安心しないこともあるので注意したい。
今回、私が作成したシロビタイムジオウム用巣箱の内寸は、(間口)34×(奥行)36×(高さ)52cm(産室:35cm)、厚さ2cmの木製。ほぼ全ての角面を厚めのアルミアングルで補強して齧り防止加工。出入口は直径12cm、市販セキセイインコ巣箱と同じ形式の縦置き型。巣箱の中には木屑(チップ)を底面一杯に30ミリ程度敷いてある。
(追加)巣箱の設置−U
上記の方法はケージ内に巣箱を設置することを前提としているが、我が師匠などではケージの外に巣箱本体を設置する方法をとっている方もいる。
この方法はケージスペースが広くなることに加え、巣箱内が確認し易くなることなどの利点があるので、実践したい有効な手段であろう。
なお、その場合の巣箱を取り付ける部分は、鳥が慣れている餌・水など通常の世話をする面に設置したほうがいいだろう。
餌及び給餌方法
以下は私の給餌内容であるが、繁殖の親と育雛には多くの草食系鳥類のように動物性タンパク質(昆虫等)が必要であろうと推測している。
主食:ひまわりの種60%、鳩の餌(通常市販品)15%、鶏の餌(成鶏用)15%、麻の実10%{全て大凡の比率:体積レベル}。
野菜等:小松菜、キャベツなどの野菜(ほぼ毎日、抱卵中は中止、)、リンゴ、バナナを適宜(繁殖前は週1〜2回、抱卵中は中止、繁殖後は毎日)与える。
その他:塩土、カルボーン(イカの甲羅)は常時与え、冬季から育仔完了までドッグフード(ドライ)も与え続ける。
その他参考資料
私の場合は隣に本ペアーと違う同種を見えないようにおき、ある意味で”刺激と安心”を与えている。つまり、同種他の個体が近くにいることでこの場所が”安心”できる場所であることを理解させると同時にある意味でテリトリー意識をもたせたつもりである。